卵子凍結保存とは
卵子凍結保存とは
日本では晩婚化や女性のキャリア志向で結婚する年齢が上昇しているなどの背景もあり、不妊治療に大きな注目が集まっています。2019年には女性が第1子を出産する平均年齢は30.7歳となっています。35歳以上の出産は高年齢出産となりますが、このように日本では多くの女性が高年齢出産をしているという事実が分かります。
一般的に女性の自然妊娠できる力は35歳以上では20代女性の半分となり、40歳を前に急激な低下がみられます。そして45歳になるとほぼ全ての女性は妊娠する能力を失うと言われています。
これは「卵子の老化」に起因するものですが、この様な社会性不妊を回避するために、20代、30代のうちに、自分の卵子を凍結保存するという方法があります。卵子の凍結保存には、この他に悪性腫瘍や白血病の治療の前に、根治後の妊娠に備えて卵子を凍結する医学的適応による卵子の凍結保存もあります。
かつては卵子の凍結保存をするためには、アメリカやカナダに渡航する必要がありました。幸いなことに、今では日本で卵子の凍結保存をすることができるようになりました。
日本女性の晩婚化の最大の理由は、「良いパートナーと出会えなかったから」というものです。素敵なパートナーと出会って、家庭を持ち、そのパートナーの子供を授かりたいと思った時に、既にあなたは卵子の老化により子供を授かることができないかも知れません。
タイムリミットを意識して毎日を過ごすよりも、若いうちに卵子を凍結保存することによって、精神的にも安定して、結婚や仕事に前向きになれると考える方が増えています。
年齢による卵子数の減少
なぜ、卵子は老化するのでしょうか?
それは女性が生まれた時には既に、卵子は卵巣にセットされているからです。女性の卵子はその女性が胎児の時に作られて、その後は生涯新しく作られることはありません。
全ての卵子はその女性と同級生で、女性が1つ歳をとれば、卵子も1つ歳をとります。
卵子は月経によって毎月1個ずつ減っていく、と大きな誤解をしている人も少なくありません。卵子の数は女性が生まれた時には200万個、初潮の頃には20万個、35歳で数万個、
50歳ではゼロ(閉経)になります。つまり卵子は思春期以降、毎月1,000個ずつ程度減少していくのです。
老化の進んだ卵子は数が減るだけではなく、その質も低下します。質が低下すると、上手く減数分裂ができずに染色体異常を起こしたり、細胞にエネルギーを供給するミトコンドリアが老朽化して機能低下を起こしたりします。
つまり卵子の老化とは、そもそも卵子の数が減るということ、また残った卵子も異常な卵子ばかりで正常な卵子がなかなか見つからない、ということが同時に起こるということです。
あなたはいま、自分自身の卵巣に何個の卵子が残っているかをご存知でしょうか?
卵巣年齢チェック
あなたの卵巣年齢はいくつですか?
あなたは「年齢よりも見た目が若いと言われるし、婦人科系の病気もないので大丈夫」などと考えていませんか?
油断は禁物です。あなたの実年齢以上に、あなたは卵巣の老化が進んでいるかもしれません。
一度老化してしまった卵巣は、もう元に戻すことはできませんし、若返りはできません。
本当に大丈夫かどうか、客観的に調べてみる必要がありそうです。
実は卵巣年齢は血液検査で測定することができます。血液中のAMHの量を測定すればよいのです。
AMHとはアンチ・ミューラリアン・ホルモンのことです。
AMHを測定することにより、卵巣に発育可能な卵胞がいくつ残っているかを推測することができます。
卵巣内に発育可能な卵胞がいくつ残っているか=卵巣年齢となります。
つまりAMHを測ることによって、卵巣年齢がわかります。
AMHの値は卵子の減少とともに下がっていき、閉経に向けて限りなくゼロに近づいていきますが、AMHは高ければ
良いというものでもありません。自身のAMHを測り、年齢別の平均値と比較することによって、自分の卵巣年齢が
いくつなのかを把握し、ライフプランを考えることが重要なのです。若い女性こそ、ぜひ検査を受けましょう。
自身のAMHを知ることは、自分自身を知ることに繋がるのです。